ロビン・ヴァン・ジンは、かなり若いうちから白銀の世界に興味を見出していたが、それはバンクーバー島の温暖な気候の中で育った女の子としては、かなり珍しいことだった。当時、ダンサーでありフィールドホッケー選手、陸上選手でもあった若きロビンは、ベッドルームの壁に貼っていた雑誌記事を見ながら、ただの一度もやったことのない「スノーボード」というスポーツのプロになりたいとの想いを固めたのだという。それは、ロビンの両親でさえ妄想と断じるような夢だった (両親はロビンの意志を二度と見くびってはいけないことを思い知ることになったが)。「人には、自分の行き先を照らしてくれるようなものと出会うことがあるのよ」とヴァン・ジンは言う。高校生になると心機一転ウィスラーへと移住。17歳でお金もなく、スノーボードの滑り方すら知らないロビンは、体の奥から湧き上がる声に背中を押されながら、自らの生来の才能を開発するようにバックカントリーのルートに挑んで行った。カルガリー大学で学びながら、ビッグエア、レール、スロープスタイルの競技に出場するようになると、アスリートとしての人生にいかに自分が魅せられているかを痛感。そして、スノーボードに自らの人生をすべてささげるようになる。ただし、競技の世界ではなく。ロビンの写真が初めてスノーボード雑誌に掲載されると、スポンサーも付き、短いムービーやコーチの仕事、そしてバックカントリーのガイドの仕事が舞い込んできた。まるで持論でもある「道筋をつける」をそのまま行動に表すかのように、ひとつの小さなゴールから次のゴールへと次々にクリアしていったのだ。やがて女性フリーライド スノーボード界では知らない人がいない存在となり、アラスカからアルゼンチンまで至る旅に出る。2016年、ついに機は熟して『Full Moon(フルムーン)』を収録。このムービーでロビンは「ウィメンズ ビデオパート賞」を獲得した。最高潮を迎えるのは2021年。初開催となる「ナチュラルセレクションツアー」で優勝。一方で、変化を起こすスノーボーダーたちを5つのエピソードでフィーチャーするドキュメンタリーシリーズ、『Fabric(ファブリック)』のプロデュースとディレクションを担う。「Protect Our Winter(私たちの冬を守ろう)」の支持者でもあるロビンは、人々が互いを認め合うことの大切さを伝えること、そしてガイドとしての資質を磨き上げることに情熱を注いでいる。
実績
- 5部作のドキュメンタリーシリーズ『Fabric』(2022年)のディレクター、プロデューサー、主催
- 初開催のナチュラルセレクションツアーで優勝(2021年)
- 『Full Moon』(2016)、トランスワールド・スノーボード ウィメンズ ビデオパート賞受賞作
- 『Depth Perception』(2017)、トランスワールド・スノーボード ウィメンズ ビデオパート賞受賞作
- Snowboard Canada誌で初めての写真を発表(2004年)
- カルガリー大学でコミュニケーションおよび地理学の学位を取得
- CAAレベル2ライセンス取得