平地の多いサスカチュワン州で生まれたジョー・ラックスは、スノーボードをトランクに積んで車を西に走らせ、小さな町を転々としました。たどり着いたペンバートンは、故郷と同じような小さな農村ではありましたが、それまでの大草原とは違い、はるかに起伏に恵まれた環境だったのです。ラックスが来た1998年当時、ペンバートンのバックカントリーは、ウィスラーの存在もあってかなり影が薄く、未踏の地が無限にありました。クレイグ・ケリーやジェレミー・ジョーンズ、トム・バートに影響を受けて、高山の稜線に分け入り、前人未踏のエリアを滑走することを目指すものにとっては、ある意味で約束の地だったのです。BC Wildfire Serviceで20年活躍したベテランでもあるラックスは、生活のためにヘリコプターから飛び降り(スノーボードに適した稜線を調査するため、当然のように空での時間を活用していました)、急な峡谷を登ってワイルドなスノーボードでの滑走を始めたのでした。以来、ペンバートンのフリーライディング シーン(ソリのアシストあり)では、屈指のパイオニアとして活躍を続けています。トレンドになる前から菜食主義で、ディナーでも、パンデミック前の壮大なアドベンチャーにおいてもゼロマイルダイエットにフォーカスし、それを習慣にしていました。ラックスにとって知識こそが大切なリソース。ミッションは、絶好のタイミングが来るまで秘めておくものであり、忍耐こそが至高の美徳であると考えます。その地に深くコミットし、自宅の裏口から常に絶好のコンディションの到来を観察していられる恩恵を最大限に活用しています。2児の父親として42歳を迎え、間もなく山での自身の喪失や人生を振り返るドキュメンタリーに出演するジョー・ラックス。今でも高頻度でシュプールを刻み、ドロップイン直前に一瞬訪れるピュアな瞬間を追い求めて活動を続けています。それこそが、この世界のノイズから自身を解き放ってくれる彼にとっての真の居場所なのです。
主な実績
- 二人の娘を持つ父親
- コースト山脈、ミーガー山山塊、タンタラス山脈、ワディントン山脈で、数々の初の滑走を達成
- 『Backcountry』、『The Snowboarder’s Journal』、『Snowboard Canada』、『Powder』、『Mountain Life』でアスリート、フォトグラファー、ライターとして活躍
- 2021年秋に公開予定のドキュメンタリー映画、『Resillience』に出演予定