カイ・ライトナーの経歴は、彼のエイプインデックスが7+であるのと同じくらい驚異的なものだ。6歳でノースカロライナのクライミングジムに足を踏み入れて以来、彼はボルダリングとリードクライミングで12の国内選手権、6つの汎米選手権、5つのワールドユースメダルを制覇してきた。2014年には、アメリカ人としてはほぼ20年ぶりに、ユースワールドチャンピオンシップ優勝という快挙を成し遂げている。15歳のときに国外で5.14d(9a)に登り、初めて出場権を得たオープン/アダルトリードクライミング国内選手権で優勝。10年後の24歳のときには、神童と呼ばれた競技アスリートにありがちなイカルス症候群に陥ることなく、同じ週に3つの5.14dsに登頂した。
ここに至るまでにライトナーが経験した最大の難関は、クライミングの世界では例外的な自分の身体的特徴と折り合いをつけることだった。現在も過去も、背が高くがっしりとした黒人の姿は珍しいからだ。周囲からの期待がプレッシャーとなり、その重荷に苦しんだライターは、競技から離れて業界の変革に力を注ぐことになる。2020年には、スポーツ界の障壁を打ち破るためにアクセス性、表現、業界のバイアスなどの問題に取り組む非営利団体、Climbing for Changeを設立。また、クライミングの世界でまん延している摂食障害への対処を提唱し、認識向上と体系的な変化を推進している。競技に復帰したとき、ライトナーは活力を取り戻していた。自分の限界に挑戦するだけでなく、クライミングのよりよい未来を形作ることを目標とするその姿は、謙虚であると同時に闘志に満ちたものだった。2024年、Death of Villains(5.15a)に初登頂し、なおも最高レベルのパフォーマンスを発揮できることを証明した。
プロアスリートとなって18年経ち、ライトナーは「自分の身体との闘いは、決して勝つことのない戦い」だと理解するに至った。子供のころ、クライミングの世界に黒人である自分と同じような外見や人生経験を持ち、手本となる人はいなかった。今彼は、岩山やジム、アウトドアにより多くの人々のための場所を作るため、自分自身の成功と強力な人間関係を利用しながら、Climbing for Changeを通じた機会の創出を計画している。
主な実績
- Climbing for Change(https://www.climbing4change.org/)創設者
- 2024年、ユタ州ハリケーン「Death of Villains」(5.15a/9a+)初登頂
- 2024年、スペイン、サンタ・リーニャ「Open Your Mind Direct」(5.14d/15a、9a/+)
- 2024年、スペイン、サンタ・リーニャ「Ciudad de Dios」(5.14d/15a、9a/+)
- 2024年、スペイン、サンタ・リーニャ「Direct into your Fabelit」(9a/5.14d)
- 2024年、コロラド州ライフル渓谷「Planet Garbage」(5.14d、9a)
- 2015年、スペイン、マルガレフ「Era Vella」(5.14d)
- 2025年、映画『Death of Villains』、Reel Rock 20
- 2016年、映画『Young Guns』、Reel Rock 11
- 2024年、ビジネスマネジメント学士号
- 基調講演者および客員講師
- 2021年、「今後の業績についての素晴らしい将来性」に対し、アメリカン・アルパイン・クラブのロバート・ヒックス・ベイツ賞を受賞
- 「コミュニティにおける優れた奉仕活動」に対し、米国オリンピック・パラリンピック(USOPC)チームのホープアワードを受賞
- 2016年、「28歳以下のマイノリティ・ゲームチェンジャー28人の1人」NBCニュース